3月1日に行われました『一の会・東洋医学講座』について報告いたします。
2014年4月より始まりました本年度の講座は第10回目となり、いよいよ最終回を迎えました。
朝から雨が降り続きましたが、受講生のみなさん・講師陣ともに「熱い」気合十分で、本年度の講座を締めくくることができました。
1限目:中医学基礎 稲垣講師
「虚証とは」 「弁証論治の発展に貢献した人物」
今回のテーマの一つ目は、「虚証」。これまでの講座であまり深く掘り下げてこなかった、「虚」の意味することについての解説が行われました。
今まで学んできた気・血・津液それぞれの働きを復習しながら、例として「気の五大作用」には相反する作用があること、発展して「虚」ということと不足していることとはイコールではない場合があることなどを学びました。
もう一つのテーマは「弁証論治の発展に貢献した人物」。
東洋医学(漢方)を学ぶ上では外せない金元四大家、および明代の張介賓について、どのような説を打ち立て、後の医学の発展に寄与したかについて解説されました。
中医学は高度な理論体系を持っています。しかし鍼灸治療に応用するには欠陥がある。それを理解するためにはまず基礎をきっちりと勉強することが不可欠です。
2限目・3限目:四診理論・実技 金澤講師
「四診実技総論」
最終講座である本日の第一声は、なんと『治療者は、神である!』
<素問・八正神明論篇第二十六>に記されている、神を髣髴とさせるような治療家の領域に達するには如何に修業を積めばよいのか。
神のような治療技術とは、言わば氷山の一角である。
見えているのはほんの一部分であり、水面下に隠れた部分がいかに重要であるか。
底辺にあるのは治療家自身の養生・鍛錬。その上に東洋医学的な世界観・人体観。さらにその上に理論や技術・応用力を身に付けていく。
さらに神の領域に達するには、何があっても折れない・曲がらない・屈しない志の高さを持ち、日々の鍛練を継続することである。それがすべてであると力説されていました。
4限目:鍼灸師が読む傷寒論基礎 稲垣講師
「少陰病・厥陰病」
『少陰之為病、脉微細、但欲寝也。』
(少陰の病というものは、脈は微で細く、ただ寝ることを欲する。)
睡魔という手ごわい魔が襲ってくる、お昼過ぎのこの時間帯は本当に眠いものです。
筆者・大上も昨夜の不摂生がたたり、睡魔が猛然と襲ってきました。
しかし、寝ている場合ではありません。少陰病は「生死存亡の最終段階」と位置付けられているのですから。
・体の陽気が虚衰することによる「少陰寒化証」=「命門火衰証」=「腎陽虚証」
・邪熱が心火の亢進と腎陰の焼灼を併発させることで生じる「少陰熱化証」=「水火不済」=「心腎不交証」=「心陽実+腎陰虚証」
上記の証の発生機序について解説があり、いずれも真陽あるいは真陰の保全が急務であること、さらに漢方薬を用いた治療ではどのような生薬を使用するかについて学びました。
この傷寒論講義においては、六経弁証と漢方生薬という、初学の方にとってはなじみの薄い題材に苦労されたことと思います。
ですが、神のような治療家の域に達するためには必須の分野です。少しずつでも、勉強を継続することで必ず理解が深まります。
5限目:東洋身体学
「東洋身体学基礎」 永松講師
頭にくる・目は口程に物を言う・腹に据えかねる・舌先三寸・肩を落とす・臍が茶を沸かす・・・等々。
小グループに分かれてのディスカッション方式で、賑やかに盛り上がりました。
人間の五感や身体を使うことには全て「気」が関連していること、治療で認識する「気」を日常生活に当てはめていくことで、皆それぞれ何かを感じ取ることができるということを学びました。
養生は、治療家を目指す方だけでなくすべての人にとって最も重要な部分です。
この一年で学んだことを、ぜひとも日々の鍛錬の中に取り入れて行きましょう。
2014年度「一の会・東洋医学講座」は今回で終了です。
みなさん、一年間お疲れ様でした。
「2015年度 一の会・東洋医学講座」は4月より始まります。
http://www.iori-hermitage.jp/enlightenment/japanese_medical_class/index.html
募集要項・カリキュラムはこちら↓
http://www.iori-hermitage.jp/enlightenment/japanese_medical_class/schedule_2015.html
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