【二三六条】
陽明病、發熱、汗出者、此為熱越、不能發黄也。
但頭汗出、身無汗、劑頸而還、小便不利、渴引水漿者、此為瘀熱在裏、身必發黄、茵蔯蒿湯主之。方二十三。
陽明病、發熱し、汗出ずる者は、此れ熱越すと為(な)す、黄を發すること能わざるなり。
但だ頭汗(づかん)出で、身に汗無く、頸(けい)を劑(かぎ)りて還(かえ)り、小便不利し、渴して水漿(すいしょう)を引く者は、此れ瘀熱裏に在りと為す。身必ず黄を發す。茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)之を主る。方二十三。
陽明病で、発熱するとありますので潮熱でしょう。
そして濈然と汗が出る場合は、内熱も一緒に発散するので発黄しないとあります。
この場合、悪寒が無いことを確認して、便秘しておれば承気湯類、便秘していなければ白虎湯類で良いと思います。
ところが首から上の頭の部分にのみ発汗がみられ、身体には発汗がみられない。
そして小便も通利せず口渇して水分を欲しがる。当然便秘もしているのでしょう。
これは瘀熱が裏に存在しており、身体に発汗も見られず、小便も通利していないので身体に必ず黄を発すると述べています。
瘀熱とありますが、積滞という意味合いで良いと思います。
主薬は以下の茵蔯蒿です。
茵蔯蒿 気味 苦 微寒
中薬学:清熱除湿・退黄
薬徴:発黄を主冶するなり。
新古方薬嚢:味苦平皮中の鬱熱を発することを主る。故に黄疸を治す。
山梔子は、薬徴に「心煩を主冶するなり。傍ら発黄を治す」とあります。
大黄は「結実の毒を通利する」です。
これらから茵蔯蒿は、皮膚の湿熱を二便に引くことが分かります。
すでに134条に「若不結胸、但頭汗出、餘處無汗、劑頸而還、小便不利、身必發黄。」とありますので、医師の誤治後に茵蔯蒿湯証になる場合もあるようですね。
山梔子で熱を二便に導き、大黄と茵蔯蒿湯で大小便を通利させ退黄させると考えることが出来ますね。
〔茵蔯蒿湯方〕(いんちんこうとうほう)
茵蔯蒿(六兩) 梔子(十四枚擘) 大黄(二兩去皮)
右三味、以水一斗二升、先煮茵蔯、減六升。内二味、煮取三升、去滓、分三服。小便當利、尿如皁莢汁狀、色正赤、一宿腹減、黄從小便去也。
茵蔯蒿(いんちんこう)(六兩) 梔子(しし)(十四枚、擘く) 大黄(二兩、皮を去る)
右三味、水一斗二升を以て、先ず茵蔯(いんちん)を煮て、六升を減ず。二味を内(い)れ、煮て三升を取り、滓を去り、分かちて三服す。小便當に利すべし。尿皁莢(そうきょう)汁の狀の如く、色正赤(せいせき)なり。一宿にして腹減じ、黄(おう)小便從(よ)り去るなり。
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