ブログ「鍼道 一の会」

65.太陽病(中)70条 調胃承気湯

七〇条

發汗後、惡寒者、虚故也。不惡寒、但熱者、實也、當和胃氣、與調胃承氣湯。方三十三。(玉函云與小承氣湯)

發汗後、惡寒する者は、虚するが故なり。惡寒せず、但だ熱する者は、實するなり、當に胃氣を和すべし、調胃承氣湯(ちょういじょうきとう)を與う。方三十三。(玉函云與小承氣湯)

  発汗後に悪寒が現れるのは、68条の芍薬甘草附子湯でした。

 そして四逆湯証に煩躁が現れるのが69条茯苓四逆湯でした。

 そして本条は、悪寒がせずにただ熱する者は、実であるから胃気を和しなさいとあります。

 おそらく、茯苓四逆湯に似た煩躁があるため、条文を並べて鑑別の必要性を暗に示しているのだと思います。

 ややこしいことに、陽明病でも脉遅を現すことがあります。

 P114 207条 大承気湯証をご覧ください。

 実が極まると遅脈となることがあるのです。

 但し、この場合の遅脈は有力だと想像できます。

 また荒木性次によると、発熱して下痢する者もあるとのことですから、四逆湯の清穀下痢と鑑別する必要もあります。

 他には、潮熱であるとか口渇の有無、舌苔黄で乾燥、小便黄色なども必ず確認しておくと良いと思います。

 ただ、四逆湯類は熱症状を呈していても、四肢は厥冷しているのでこの点は、大いに鑑別点になるのではと思います。

 調胃承気湯の配剤を見ますと、苦寒の大黄と鹹苦寒の芒硝、甘微温の炙甘草のわずか三味です。

 芒硝は、心下痞堅・心下石硬など、難解の毒を治すとありますので、中脘穴を中心として硬く緊張している腹証だと思います。

 脈は洪大で有力が基本です。

 鍼を用いるのなら、断然瀉法で良いと思います。

 効果判定は、脈の洪大が穏やかになり、腹部の緊張が弛んでくれば良いと思います。

 

〔調胃承氣湯方〕

芒消(半升) 甘草(二兩炙) 大黄(四兩去皮清酒洗)

右三味、以水三升、煮取一升、去滓、内芒消、更煮兩沸、頓服。

芒消(半升) 甘草(二兩炙る) 大黄(四兩皮を去り清酒で洗う)

右三味、水三升を以て、煮て一升を取り、滓を去り、芒消を内れ、更に煮て兩沸し、頓服す。

 

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