【六一】
下之後、復發汗、晝日煩躁不得眠、夜而安靜、不嘔、不渴、無表證、脉沈微、身無大熱者、乾薑附子湯主之。方二十四。
之を下したる後、復た發汗し、晝日(ちゅうじつ)煩躁して眠を得ず、夜にして安靜、嘔せず、渇せず、表證無く、脉沈微、身に大熱無き者は、乾薑附子湯(かんきょうぶしとう)之を主る。方二十四。
48条の二陽の併病、もしくは56条の併病の状態で下すべき証があり、その後に表証が残っていると判断して発汗法に過誤があった証と考えています。
昼日、煩躁して眠れず夜治まるので、これは陽明病ではなく陰証であることが分かります。
陽虚で、裏気が表に赴くことが出来ず、内に鬱して起こっている煩躁です。
おそらく、水が陽気を阻んで内に鬱してしまっているのでしょう。
ですから、夜になって外に気を張り出す必要がなくなると煩躁が治まる訳です。
さらに<嘔せず、渇せず、表證無く、脉沈微、身に大熱無き者>ですから、少陽病でも無い、陽明病でもない、太陽病でもない、そして表熱も無い、脉微細の少陰病ですよと言っている訳です。
配剤をみますと、わずか二味なので即効性があります。
しかも附子は生を用いているので、強力に水が陽気を阻んでいる状態であることが分かります。
おそらく小便も不利となっているはずです。
これを辛温の乾姜・附子で水を散らして利水し、相対的に陽気が伸びやかとなり陰陽の回復に持って行くと考えることが出来ます。
この乾姜附子湯に炙甘草2両を加えると、91条や92条に観られるような、さらに重篤の四逆湯証になります。
わずか炙甘草一味の違いは、どこにあるのでしょうね。
91条・92条で考察いたします。
あらかじめ条文を読んで頂くと、すぐに解けると思います。
〔乾薑附子湯方〕
乾薑(一兩) 附子(一枚生用去皮切八片)
右二味、以水三升、煮取一升、去滓、頓服。
乾薑(一兩) 附子(一枚、生を用い、皮を去り、八片に切る)
右二味、水三升を以て、煮て一升を取り、滓を去り、頓服す。
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