ブログ「鍼道 一の会」

55.太陽病(中)56条 衄 桂枝湯

 56条を除く、49条から60条までは、後人の攙入だと思われるので、これらには原文と読み下し文のみを文末に掲載し、解説を加えず進みます。

五六

傷寒、不大便六七日、頭痛有熱者、與承氣湯。其小便清(一云大便青)者、知不在裏、仍在表也、當須發汗。若頭痛者必衄。宜桂枝湯。二十二(用前第十二方)。

傷寒、大便せざること六、七日、頭痛み熱有る者は、承氣湯(じょうきとう)を與う。其小便清き(一云大便青)者は、に在らずして、仍(な)お表に在あるを知るなり、當に須(すべから)く汗を發すべし。

若し頭痛む者は必ず衄(じく)す。桂枝湯に宜し。二十二(前の第十二方を用う)。

 

 簡単に意訳しながら解説します。

 傷寒に罹って6~7日間便秘をし、腹満や口渇、悪熱・潮熱が現れている場合は承気湯類で下しなさい。

 ただし、小便の色が黄色でなくて透明であり、悪寒などの症候があればさらに表を攻めなさい。

 便秘による内熱があり、頭痛がするようであれば鼻衄することがあるので、桂枝湯類を用いなさいということだと理解できます。

 この場合の頭痛は、かなり厳しい拍動性の頭痛なのでしょう。

 やはり、45条・46条<麻黄湯証>の鼻衄で解けるのは表証ではなく熱症状であり、鼻衄があっても、同時に発汗解肌して治癒すると理解できますね。

 46条<太陽病、脉浮緊、發熱、身無汗、自衄者愈>

 次回は、この条文の後に61条下之後、復發汗、晝日煩躁不得眠、夜而安靜、不嘔、不渴、無表證、脉沈微、身無大熱者、乾薑附子湯主之>をつなげて読み進めたいと思います。

 

四九

脉浮數者、法當汗出而愈。若下之、身重、心悸者、不可發汗、當自汗出乃解。所以然者、尺中脉微、此裏。須表裏實、津液自和、便自汗出愈。

脉浮數(さく)の者は、法(ほう)當(まさ)に汗出でて愈ゆべし。若し之を下し、身重く、心悸する者は、汗を發すべからず、當に自汗出でて乃ち解すべし。然る所以(ゆえん)の者は、尺中の脉微(び)、此れ裏虚(りきょ)す。表裏實し、津液自(おのずか)ら和するを須(ま)てば、便(すなわ)ち自汗(じかん)出でて愈ゆ。

 

五〇

脉浮緊者、法當身疼痛、宜以汗解之。假令尺中遲者、不可發汗。何以知然。以榮氣不足、血少故也。

脉浮緊の者は、法(ほう)當に身(み)疼痛し、宜しく汗を以て之を解すべし。假令(たと)えば尺中遲の者は、汗を發すべからず。何を以てか然るを知る。榮氣足らず血少なきを以ての故なり。

 

五一

脉浮者、病在表、可發汗、宜麻黄湯。十七。(用前第五方法用桂枝湯)

脉浮の者は、病表に在り、汗を發すべし、麻黄湯に宜し。十七。(前の第五方を用う。法に桂枝湯を用う)

 

五二

脉浮而數者、可發汗、宜麻黄湯。十八(用前第五方)。

脉浮にして數の者は、汗を發すべし、麻黄湯に宜し。十八(前の第五方を用う)。

 

五三

病常自汗出者、此為榮氣和。榮氣和者、外不諧、以衛氣不共榮氣諧和故爾。以榮行脉中、衛行脉外。復發其汗、榮衛和則愈。宜桂枝湯。十九(用前第十二方)。

病常に自汗出ずる者は、此れ榮氣和すと為す。榮氣和する者は、外諧(ととの)わず、衛氣、榮氣共に諧和(かいわ)せざるを以ての故に爾(しか)り。榮は脉中を行(めぐ)り、衛は脉外を行るを以て、復た其の汗を發し、榮衛和すれば則ち愈ゆ。桂枝湯に宜し。十九(前の第十二方を用う)。

 

五四

病人藏無他病、時發熱、自汗出、而不愈者、此衛氣不和也。先其時發汗則愈、宜桂枝湯。二十(用前第十二方)。

病人藏に他病無く、時に發熱し、自汗出でて、愈えざる者は、此れ衛氣和せざるなり。其時に先だちて汗を發すれば則ち愈ゆ、桂枝湯に宜し。二十(前の第十二方用う)

 

五五

傷寒、脉浮緊、不發汗、因致衄者、麻黄湯主之。二十一(用前第五方)。

傷寒、脉浮緊、汗を發せず、因(よ)りて衄(じく)を致す者は、麻黄湯之を主る。二十一(前の第五方を用う)。

 

五六

傷寒、不大便六七日、頭痛有熱者、與承氣湯。其小便清(一云大便青)者、知不在裏、仍在表也、當須發汗。若頭痛者必衄。宜桂枝湯。二十二(用前第十二方)。

傷寒、大便せざること六、七日、頭痛み熱有る者は、承氣湯(じょうきとう)を與う。其小便清き(一云大便青)者は、に在らずして、仍(な)お表に在あるを知るなり、當に須(すべから)く汗を發すべし。

若し頭痛む者は必ず衄(じく)す。桂枝湯に宜し。二十二(前の第十二方を用う)。

 

五七

傷寒、發汗已解、半日許復煩、脉浮數者、可更發汗、宜桂枝湯。二十三(前の第十二方を用う)。

傷寒、汗を發し已に解(げ)すること半日許(ばか)りにして復(ま)た煩(はん)し、脉浮數の者は、更に汗を發すべし、桂枝湯に宜し。二十三(前の第十二方を用う)。

 

五八

凡病、若發汗、若吐、若下、若亡血、亡津液、陰陽自和者、必自愈。

凡(およ)そ病、若しくは發汗し、若しくは吐し、若しくは下し、若しくは亡血(ぼうけつ)し、津液を亡(うしな)うも、陰陽自(おのずか)ら和す者は、必ず自ら愈ゆ。

 

五九

大下之後、復發汗、小便不利者、亡津液故也。勿治之、得小便利、必自愈。

大いに下して後、復た發汗し、小便不利の者は、津液を亡(うしな)うが故なり。之を治すること勿(な)かれ、小便利するを得れば、必ず自ら愈ゆ。

 

六〇

下之後、復發汗、必振寒、脉微細。所以然者、以内外倶故也。

之を下して後、復た發汗すれば、必ず振寒し、脉微細なり。然る所以の者は、内外倶(とも)に虚するを以ての故なり。

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