足太陽脉.令人腰痛.引項脊尻背.如重状.刺其郄中.太陽正經出血.春無見血.
少陽.令人腰痛.如以鍼刺其皮中.循循然不可以俛仰.不可以顧.刺少陽成骨之端出血.成骨.在膝外廉之骨獨起者.夏無見血.
陽明.令人腰痛.不可以顧.顧如有見者.善悲.刺陽明於䯒前三痏.上下和之出血.秋無見血.
足少陰.令人腰痛.痛引脊内廉.刺少陰於内踝上二痏.春無見血.出血太多.不可復也.
厥陰之脉.令人腰痛.腰中如張弓弩弦.刺厥陰之脉.在腨踵魚腹之外.循之累累然.乃刺之.其病令人善言.黙黙然不慧.刺之三痏.
足太陽の脉、人をして腰痛せしむ。項脊尻背(こうせきこうはい)に引くこと、重状の如し。其の郄中、太陽正經を刺し血を出だす。春に血を見(あら)わすことなかれ。
少陽、人をして腰痛せしむ。鍼を以て其の皮中を刺すが如し。循循然として以て俛仰(ふぎょう)すべからず。以て顧(かえりみ)るべからず。足少陽の成骨の端を刺し血を出だす。成骨は、膝外廉の骨、獨(ひと)り起こる者に在り。夏に血を見わすこと無し。
陽明.人をして腰痛せしむ。以て顧(かえりみ)るべからず。顧れば見る者有るが如し。善く悲しむ。陽明の䯒前を刺すこと三痏(ゆう)。上下これに和して血を出だす。秋に血を見わすこと無し。
足少陰、人をして腰痛せしむ。痛み脊の内廉に引く。少陰の内踝上を刺すこと二痏(ゆう)。春に血を見わすこと無し。血を出すこと太(はなは)だ多ければ、復すべからざるなり。
厥陰の脉、人をして腰痛せしむ。腰中弓弩の弦を張るが如し。厥陰の脉を刺す。腨踵(ぜんしょう)魚腹の外に在り。これを循(なず)るに累累然たるに、乃ちこれを刺す。其の病人をして善く言わしめ、黙黙然として慧(けい)ならざしむる。これを刺すこと三痏(ゆう)。
解脉.令人腰痛.痛引肩.目口口然.時遺溲.刺解脉.在膝筋肉分間.郄外廉之横脉.出血.血變而止.
解脉.令人腰痛.如引帶.常如折腰状.善恐.刺解脉.在郄中.結絡如黍米.刺之.血射以黒.見赤血而已.
同陰之脉.令人腰痛.痛如小錘居其中.怫然腫.刺同陰之脉.在外踝上絶骨之端.爲三痏.
解脉、人をして腰痛せしむ。痛み肩に引き、目口口(こうこう)然として、時に遺溲す。解脉の刺は、膝の筋肉の分間、郄の外廉の横脉に在り。血出だし、血變じて止む。
解脉.人をして腰痛せしむ。帶を引くが如く、常に腰折れるが状の如し。善く恐す。解脉の刺は、郄中に在り、結絡の黍米(しょまい)如きに在り。これを刺すに、血射するに黒を以てす。赤を見れば已む。
同陰の脉、人をして腰痛せしむ。痛むこと小錘その中に居くが如し。怫然として腫す。同陰の脉刺は外踝の上、絶骨の端に在り。三痏(ゆう)を爲す。
陽維之脉.令人腰痛.痛上怫然腫.刺陽維之脉.脉與太陽合腨下間.去地一尺所.
衡絡之脉.令人腰痛.不可以俛仰.仰則恐仆.得之擧重傷腰.衡絡絶.惡血歸之.刺之在郄陽.筋乗間.上郄數寸.衡居.爲二痏.出血.
會陰之脉.令人腰痛.痛上漯漯然汗出.汗乾令人欲飮.飮已欲走.刺直陽之脉上三痏.在蹻上郄下五寸横居.視其盛者出血.
陽維の脉、人をして腰痛せしむ。痛みの上怫然として腫す。陽維の脉を刺し、脉と太陽合腨の下間に合し、地を去ること一尺の所なり。
衡絡の脉、人をして腰痛せしむ。以て俛仰すげからず。仰げば則ち恐仆す。これ重きを擧げ腰傷りてこれを得る。衡絡絶し、惡血これに歸す。これを刺すに郄陽、筋の間、郄を上ること數寸、衡居するに在り。二痏を爲し、血出だす。
會陰の脉、人をして腰痛せしむ。痛みの上漯漯然として汗出ず。汗乾けば人をして飮を欲せしむ。飮已りて走らんと欲す。直陽の脉上を刺すこと三痏、蹻の上郄の下五寸に在りて横居す。その盛んなる者を視て血を出だす。
飛陽之脉.令人腰痛.痛上拂拂然.甚則悲以恐.刺飛陽之脉.在内踝上五寸.少陰之前.與陰維之會.
昌陽之脉.令人腰痛.痛引膺.目口口然.甚則反折.舌卷不能言.刺内筋.爲二痏.在内踝上.大筋前.太陰後.上踝二寸所.
散脉.令人腰痛而熱.熱甚生煩.腰下如有横木居其中.甚則遺溲.刺散脉.在膝前.骨肉分間.絡外廉.束脉.爲三痏.
肉里之脉.令人腰痛.不可以欬.欬則筋縮急.刺肉里之脉.爲二痏.在太陽之外.少陽絶骨之後.
飛陽の脉、人をして腰痛せしむ。痛の上拂拂然たり。甚しければ則ち悲し以て恐す。飛陽の脉を刺すは、内踝の上五寸、少陰の前、と陰維の會に在り。
昌陽の脉、人をして腰痛せしむ。痛に膺に引き、目口口(こうこう)然たり。甚だしければ則ち反折し、舌を卷きて言うこと能わず。内筋を刺すこと、二痏を爲す。内踝の上、大筋の前、太陰の後、踝を上ること二寸の所に在り。
散脉、人をして腰痛みて熱せしむ。熱甚だしければ煩を生じ、腰の下に横木有りてその中に居するが如し。甚だしければ則ち遺溲す。散脉を刺すは、膝の前、骨肉の分間、外廉を絡する束脉に在り。三痏を爲す。
肉里の脉、人をして腰痛せしむ。以て欬すべからず。欬すれば則ち筋縮急す。肉里の脉を刺す。二痏を爲す。太陽の外、少陽絶骨の後に在り。
腰痛上寒.刺足太陽陽明.上熱.刺足厥陰.不可以俛仰.刺足少陽.中熱而喘.刺足少陰.刺郄中出血.
腰痛脊を侠みて痛み、頭に至りて几几(しゅしゅ)然たり。目口口(こうこう)として僵仆(きょうぼく)せんと欲す。足太陽の郄中を刺し、血を出だす。
腰痛上寒するは、足太陽陽明を刺す。
上熱するは、足厥陰を刺す。
以て俛仰すべからざるは、足少陽を刺す。
中熱して喘ぐは、足少陰を刺す。郄中を刺し血を出だす。
腰痛上寒不可顧.刺足陽明.上熱.刺足太陰.中熱而喘.刺足少陰.
大便難.刺足少陰.
少腹滿.刺足厥陰.
如折.不可以俛仰.不可擧.刺足太陽.引脊内廉.刺足少陰.
腰痛上寒して顧(かえり)みるべからざるは、足陽明を刺す。
上熱するは、足太陰を刺す。
中熱して喘ぐは、足少陰を刺す。
大便難きは、足少陰を刺す。
少腹滿は、足厥陰を刺す。
折れるが如く、以て俛仰すべからず、擧ぐるべからざるは、足太陽を刺し、脊の内廉に引くは、足少陰を刺す。
腰痛引少腹控䏚.不可以仰.
刺腰尻交者.兩髁胂上.以月生死爲痏數.發鍼立已.
左取右.右取左.
腰痛少腹に引き、控䏚(こうびょう)し、以て仰ぐべからざるは、
腰尻の交わる者、兩内髁の胂上を刺す。月の生死を以て痏數と爲す。鍼を發すれば立ちどころに已む。
左は右を取り、右は左を取る。
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