黄帝問曰.願聞十二藏之相使貴賎何如.
岐伯對曰.悉乎哉問也.請遂言之.
黄帝問うて曰く。願わくば十二藏の相使、貴賎いかなるかを聞かん。
岐伯對えて曰く。悉(しつ)なるかな問や。請う、遂にこれを言わん。
心者.君主之官也.神明出焉.
肺者.相傅之官.治節出焉.
肝者.將軍之官.謀慮出焉.
膽者.中正之官.決斷出焉.
膻中者.臣使之官.喜樂出焉.
脾胃者.倉廩之官.五味出焉.
大腸者.傳道之官.變化出焉.
小腸者.受盛之官.化物出焉.
腎者.作強之官.伎巧出焉.
三焦者.決涜之官.水道出焉.
膀胱者.州都之官.津液藏焉.氣化則能出矣.
心なる者は、君主の官なり。神明出ず。
肺なる者は、相傅の官。治節出ず。
肝なる者は、將軍の官。謀慮出ず。
膽なる者は、中正の官。決斷出ず。
膻中なる者は、臣使の官。喜樂出ず。
脾胃なる者は、倉廩の官。五味出ず。
大腸なる者は、傳道の官。變化出ず。
小腸なる者は、受盛の官。化物出ず。
腎なる者は、作強の官。伎巧出ず。
三焦なる者は、決涜の官。水道出ず。
膀胱なる者は、州都の官。津液藏す。氣化すれば則ち能く出ず。
凡此十二官者.不得相失也.
故主明則下安.以此養生.則壽.歿世不殆.以爲天下.則大昌.
主不明.則十二官危.使道閉塞而不通.形乃大傷.以此養生.則殃.以爲天下者.其宗大危.戒之戒之.
至道在微.變化無窮.孰知其原.窘乎哉.
肖(消)者瞿瞿.孰知其要.
閔閔之當.孰者爲良.
恍惚之數.生於毫氂.毫氂之數.起於度量.
千之萬之.可以益大.推之大之.其形乃制.
凡そ此の十二官なる者、相い失するを得ざるなり。
故に主、明らかなれば則ち下は安んず。此を以って養生すれば則ち壽。世歿(お)わりて殆(あや)うからず。以って天下を爲せば則ち大いに昌ん。
主、明らかならざれば則ち十二官危うし。道をして閉塞して通ぜざらしむる。形乃ち大いに傷る。此を以って養生すれば則ち殃す。以って天下を爲す者は、其の宗大いに危うし。これを戒しめよ、これを戒しめよ。
至道は微に在り、變化は窮まり無し。孰れか其の原を知らん。窘(たしな)まれるかな。
肖(消)なる者は、瞿瞿(くく)。孰(たれ)れか其の要を知らん。
閔閔(びんびん)としてこれに當たる。孰れの者か良と為さん。
恍惚の數、毫氂に生ず。毫氂の數、度量に起こる。
これを千にし、これを萬にし、以って益ます大にすべし。これを推しこれを大にし、其の形乃ち制す。
黄帝曰.善哉.余聞精光之道.大聖之業.而宣明大道.非齋戒擇吉日.不敢受也.
黄帝乃擇吉日良兆.而藏靈蘭之室.以傳保焉.
黄帝曰く、善き哉な。余は精光の道、大聖の業を聞く。しかして大道を宣明にす。齋戒して吉日を擇ぶに非らざれば、敢えて受けざるなり。
黄帝乃ち吉日良兆を擇び、しかして靈蘭の室に藏し、以って傳え保つなり。
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