筆者の場合、東洋医学の入り口は『黄帝内経』だったのですが、この書物の背景となる思想背景のひとつに、陰陽五行学説がある。
実は初学の頃からずっと抱いてきた疑問のひとつに、五行学説への不信感があった。
ここ数年、やっとその疑問が解けてきたので、開示したいと思います。
そもそも陰陽五行論は、一緒に述べられているが、元は陰陽論と五行論は別々のものであったようだ。
それが、中国の春秋戦国時代(紀元前770~400年)に結び付けられ、前漢(紀元前紀元前206年 – 8年)頃に著された『黄帝内経』では、陰陽五行論として理論運用されている。
実際の臨床において、陰陽論は必須の無くてはならないものとの認識は実感するものの、五行論に至っては誤りであるとの結論に達した。
ところが、五行論を全部否定してしまうと、『黄帝内経』の世界観そのものが危うくなってしまうという問題点が生じて来る。
つじつまの合うところはこれを取り上げ、つじつまの合わないところはこれを捨てるという考え方がある。
ではその判断の基準をどこに置けば良いのか。さらにこのような考え方では、何にでも勝手な理由づけに用いられる危険性もある。要は、こじつけし放題になると言うことである。
拠り所とするには頼りない、全否定すれば東洋医学が成り立たない。ちょっとしたジレンマですね。
おそらく、『黄帝内経』を現わした複数の歴代の著者は、五行論を用いて表現し、伝えたかった意図は他に在るのではないかと想像している。
そして筆者なりに達した結論は、五行論は五種類の性質に分かれた『フォルダー』であると考えれば、矛盾なく有用的に運用できるが、それ以外の、相生・相剋関係は、すべてこれを誤りとする考えである。
次回からは、五行論の源流を視てみたい。
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