難しく感じておられる方も多いと思います。
以下の図のように、単純にイメージすると分かりやすいです。
赤と青の矢印は、相反する気の働きを示したものです。赤は熱の性質、
青は寒の性質とイメージして下さい。
さらに赤は怒りや喜び悲しみなどの感情、青は緊張や葛藤、怖れなど
の感情などによって、具体的に身体の状態が変化します。
中医学では、気の基本的な動きには昇・降・出・入の4つしかなく、これ
を気機と称します。
東洋医学では、病気は、昇るべき・下るべき・出るべき・入るべきものが
正常に機能しない状態と考えます。
ちなみに、びっくりしたり驚いたりすると、これら4つの気の動きがバラバラ
になるので動転するのですね。
具体的な例では、出るべきものが出ない状態だと、便秘、発汗できない、
息が吐けない、生理が止まる、発熱できない、感情が表現できない・・・色々
ありますが、いずれもその背景を探って治療を行います。
当然逆もあります。出るべきでないものが出てしまう状態です。止まらな
い未消化の下痢、汗が止まらない、生理の不正出血、過度な感情表現・・・といった具合です。
湯液(とうえき=漢方薬)の専門家は、4つの気の動きで病態を捉え
ればよいが、鍼灸の専門家は、これに左右の2つの気の動きを加えて捉える必要があることを付け加えておきます。
冬気と春気の2つの図を比べて、気の状態をイメージしながら、
読み進めて下さい。
冬は、蔵気。つまりすべてのものを外から内へと内蔵させる気が働きます。
それが春になるといよいよ内から外へ気が張り出し、
下から上へと気が昇るので、身体に過剰に溜め込まれた邪気=毒は
何らかの形で外に排出しようとします。
春・朝はゆっくりとスローで緩んだ動作と気持ちで行動するのが良いの
ですね。目覚まし時計で、飛び起きて慌ただしい朝が常態化していません
でしょうか。
先に書いたとおり、春はとにかく気が上に昇るので、頭痛、めまい、耳鳴り、
肩こりなどの上半身の症状が出やすい。反対に下半身は気が不足するの
で冷えやすくなり、足元が不安定になりやすく、けつまずいたり転んだりしやすくなります。
また、体内から外に気が張り出して来るため、冬の間にため込んだ様々な種類の邪気=毒も一緒に表面に出てきます。アトピーなどの皮膚症状が
その代表例です。
春の喘息や花粉症などは、冬の間に体内に過剰に蓄えていた体液や熱
が上半身に溢れ出てきたものです。
現代医学では、アレルギーという診方をしますが、東洋医学では、身体が
春気の動きの変化に伴って、邪気も移動し、排泄する姿と考えます。
喘息・花粉症と一口にいっても、人によって細かな違いがありますが、ざっく
りと理解してもらえれば、対処の仕方が見えてくるはずです。
薄い鼻水がたくさん出る方は、身体が冷えて体液を動かし、小便と
して排泄する作用が低下しているので、果物、ヨーグルト、生野菜、ジュース、牛乳などの身体を冷やすものはきっぱりとやめて、身体が温まる程度の運動をするのがよろしいです。
そして軽い運動をして、身体が温まって来ると小便も勢いよく、たくさん
出ると思います。
顔が赤く、鼻水は出ないけれど、夜になると鼻が詰まって寝苦しい。鼻
水もねっとりとして色が付いているという方は、体内に熱気がこもるタイプの
方です。
こってりとした味の濃いもの、肉・油・香辛料、それに甘いものを止めて、
イラつくことを止めることで改善します。
どちらのタイプも、精神的には、「怒り」がポイントになります。現代人は、
怒りの要素が大きいです。
怒ると、顔が赤くなって熱くなります。激しく気が上昇するからです。とこ
ろが腹が立っても、ストレートに「怒り」を表現することが難しいと、本来頭
部顔面に向かうべき真っ赤な熱は体内に鬱積します。これがジワジワと、
人の気を上昇させます。ですから、当然のぼせ易くなります。
熱という性質自体が上に昇ろうとするからです。
上は熱く下は冷たい。湯船を想像してもらうと好いと思います。
1年を通じて、年がら年中このような状態の方は多く見られます。冷え症
だといって様々なことをされてますが、なかなかご自身の心と向き合う方
向にはいかないですね。
ちなみに、イライラもまた気を上に昇らせます。イライラは、小さな怒り・
葛藤だからです。
あと自己抑制の強い方です。このタイプの方は、熱性であるお酒を飲む
と、逆に顔が青くなります。酔ってはいけないという、自己抑制が自動的に
働いてしまうからです。
世間のルールや常識に、過剰に適応しようとして自分自身を縛ってしまってる方に多いです。
どの季節にあっても、冬気の状態傾向になっておられる方、多いです。
ご自身がイラついていることに気が付いておられない方もたくさんおら
れますし、このような精神状態が、花粉症や喘息だけでなく、アトピーを始
め、癌や様々な難病とされている病の背景に深く関与していることは、一
般的に認識されてません。
ところが、東洋医学の視点では非常に重要な、見逃すことのできない
発病因子として考えます。
春は穏やかで悦びの気持ちで過ごし、身体的にもゆるりと過ごすのが
自然の理。
参考にして頂いて、ご自身の生活・心の習慣が今の状態に大きく影響し
ていることを、認識して健康維持に役立てて頂けますよう願っております。
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