脈診に熟達するには、望診や問診などから得られた情報に照らし合わせて診ていく重要性が説かれている。
脈象と症状は、固定的に捉えるのではなく、やはり陰陽・表裏・寒熱・虚実の八綱を胸の内においてイメージすることが大切だと、筆者は理解している。
根気よく継続していると、少しづつではあっても、門は開かれる。
それにしても、内容の深遠さと、理解の遠く及ばないことをつくづく思い知らされる。
原 文 意 訳
人の夢から、様々な身体の陰陽の状態を知ることが出来るのでございます。
陰気が盛んでありますと、ビクビクと恐れながら大きな河を渡る夢を見ます。
陽気が盛んでありますと、大火が真っ赤に燃え広がる夢を見ます。
陰陽の気が、共に盛んでありますと、互いに争い傷つけ合う夢を見ます。
気が上半身に盛んである時は、空を飛ぶ夢を見まして、下半身に盛んである時には、下に落ちる夢を見るものであります。
甚だ飽食しておりますと、人に与える夢を見まして、甚だ飢えておりますと、ものをつかみ取ろうとする夢を見ます。
肝気が盛んでありますと、怒る夢を見まして、肺気が盛んでありますと大声をあげて哭く夢を見ます。
腹中に短虫が多く寄生しておりますと、多くのものが群がり集まる夢を見まして、長虫が多く寄生しておりますと、互いに撃ち合って傷つけ合う夢を見るのであります。
脈状を診る場合には、道理がございまして、心の雑念を排して虚しくし、静かな心持を維持することが、まずもって肝要であります。
春の日の脈象は、魚が波間に泳ぎ遊んでいるかのように穏やかで、浮いているものであります。
夏の日の脈象は、皮膚の浅いところで触れまして、広範囲に万物が有り余っているかのような充実した感じがいたします。
秋の日の脈象は、皮膚の下で触れまして、土の中の虫がまさに隠れようとして去るような感じがいたします。
冬の日の脈象は、深く押さえて骨に達するかのようなところで触れるものでして、土中の虫が密に深く集まり閉じこもっているような感じがいたします。神気もまた、部屋に閉じこもるのであります。
従いまして、体内の状態を知りますには、脉状を按じましてこれを綱紀といたします。
体外の状態を知りますには、望診で色を観たり、切診で体中に触れ、初めから終わりまで何度も繰り返し、脉状と照らし合わせて観察するのであります。
春夏秋冬の脉状に、この内外を加えた六者は、脈診の大原則であります。
心の脉が堅くて長く拍つように感じるのは、舌が巻き上がって話すことができなくなる病であります。この脉が軟で散じるかのようでありまして、段々と弱くなっていった脉が元に戻ってまいりますと、自ずと回復するのであります。
肺の脉が堅くて長く拍つように感じる時は、唾に血が混じる病であります。
この脉が軟で散じるかのようでありますと、大量に発汗して身体が冷え、汗腺が閉じて再び発汗できない病となります。
肝の脉が堅くて長く拍つように感し、面色が青くないものは肝が鬱していないことを現しておりますが、高所から堕ちたか打撲によって、血が脇の下に停滞しておりますので、喘逆となります。
この脉が軟で散じるかのようで面色に光沢がありますものは、溢飲を病んでおります。溢飲と申しますのは、にわかに口渇が起こりまして大量に水を飲み、水分が腸胃の外である肌皮に入りむくみを生じる病のことであります。
胃の脉が堅くて長く拍つように感じ、面色が赤いようでありますと、股の骨が折れるかのように痛む病であります。
この脉が、軟で散じるかのようでありますと、食物が胃に入ると停滞し、胃が痛む食痺を病みます。
脾の脉が堅くて長く拍つように感じ、面色が黄のようでありますと、呼吸が浅い少気を病んであります。
この脉が軟で散じるかのようで、面色に光沢がないようでありますと、足のすねに浮腫が生じ、それはあたかも水が入っているかのようにパンパンにむくむものであります。
腎の脉が堅くて長く拍つように感じ、面色が黄ばんで赤いのは、腰の骨が折れるかのように痛む病であります。
この脉が軟で散じるかのようでありますと、少血を病んでおり、もはや元に戻らないものであります。
※五臓の脉は、季節の脉状と理解するのが妥当と考える。
帝が申された。診たところ心の脈が急であった。これは何の病で、兆候はどのようであるのか。
岐伯が申された。病は心疝と名づけられておりまして、少腹になんらかの兆候がございます。
帝が申された。何をもってその根拠とするのであるか。
岐伯が申された。心は牝臓であり、小腸は心の指示に従い、具体的に働く使いのようなものであります。小腸は下焦に位置しておりますので、そこに何らかの兆候が現れるのであります。
帝が申された。診たところ胃脈を得たが、兆候はどのようであるのか。
岐伯が申された。胃脉が実であれば腹部が脹り、虚であれば下痢となります。
帝が申された。ある病が原因となってそれが変化するとは、何を言っているのであろうか。
岐伯が申された。風邪に罹りますと寒熱の症状が起こります。
湿熱の邪が腹中に留まりますと、食べても食べても飢えが止まず、身体が痩せていく消中となります。
気が逆流していますと、人事不詳となる癲疾となります。
久しく風に当たりますと、陽気が衰えて下痢となります。
風が脉に入り去らないでおりますと、皮膚が腐れ落ちる癘(れい)となります。
これらのように、病の変化と申しますのは、いちいち数えきれないのであります。
帝が申された。諸々の癰腫、筋孿、骨痛などは、どうして生じるのであろうか。
岐伯が申された。これは寒気による腫と、八風の変によって起こるものでございます。
岐伯が申された。これを治療するには、どのようにすればよいのか。
岐伯が申された。これは四時の病でありますので、その勝つところをもって治療いたしますと癒えるのであります。
帝が申された。何らかの原因で病となると、五臓の気が発動し、脉色が傷られることとなる。
そこで、久病であるか、にわかに至った新病であるかは、何をもって知ることが出来るのであろうか。
岐伯が申された。なんと尽くせる問いであらせますことでしょう。
徴候としてその脉が小さくとも、気色が奪していないものは、新病であります。
徴候として、その脉に奪は無いが、気色が奪しているものは、久病であります。
徴候として、脉と気色供に奪しているものは、久病であります。
徴候として、脉と気色供に奪していないものは、新病であります。
肝と腎の脉が同時に現れ、気色に蒼と赤が現れているのは、打撲して出血していないことを示しております。
もしすでに出血をしておれば、傷口が湿ってなかなか止まりません。それはあたかも傷口を水に浸しているかのようであります。
腕関節から肘関節までを三等分致しまして、肘関節付近の尺内の両傍は、季脇に相当します。
肘関節付近の尺外で腎を候い、尺裏で腹を候います。
前腕中央付近の、中の附上の左外で肝を候い、内側で鬲を候います。右外で胃を候い、内側で脾を候います。
前腕腕関節寄りの、上の附上の右外で肺を候い、内側で胸中を候います。左外で心を候い、内側で膻中を候います。
前腕内側で身体前面、胸腹部の状態を候い、前腕外側で身体後面、腰背部を候います。
腕関節に近い上竟の上は、胸と喉中の状態が現れ、肘関節の横紋に近い下竟の下は、少腹、腰股、膝脛足の中の状態が現れます。
※尺内外、附上、上竟・下竟がどの部位を示しているかは、多紀元簡が尺皮診であると論じている。筆者も、同感である。おそらくこの部分の記載が、後の難経、六部定位の臓腑配当へとつながっていたのではないかと考えている。
脈象が粗大であるのは、陰不足・陽有余であり、中の内熱を表しています。
脉の来るのが早く、ゆっくりと去る感じがするのは、上実下虚の象でありまして、気逆や癲疾を起こします。
脉の来るのがゆっくりしており、早く去る感じがするのは、上虚下実の象でありまして、身体上部の陽気不足のところに、悪風が侵しております。
従いまして、悪風の邪気は、まず身体の陽気がこれを受けるのであります。
脉が左右供に沈・細・数でありますと、これは少陰の厥逆の象であります。
脉が沈・細で按じて散でありますのは、寒熱の象であります。
脉が浮いており、按じると散でありますのは、頭がクラクラとして倒れる象であります。
諸々の脈象を兼ねていても、浮いて躁でないものは、病は表陽に在りまして発熱致します。浮いて躁でありますと、病は手に在ります。
諸々の脈象を兼ねていても、細・沈でありますと、その病は裏・陰に在りまして、骨痛がいたします。
細・沈でありましても、脈が静かに拍っているようですと、病は足に在ります。
数脉で、脈拍の休止があるものは、陽の脉に病があり、下痢をしたり膿血便をいたします。
様々な脉象の中で、ぴったりと指を当て行き過ぎた象を候うに、脉の去来が渋ったかのような濇(しょく)脉を感じましたら、陽気が有余して渋滞しておるのであります。
また珠のように求心性のある滑脈を得ましたら、陰気が有余して張り出すことが出来ないのであります。
陽気が有余するということは、身体に熱があっても発汗しないため、陽気が有余して渋滞しているのであります。
陰気が有余するということは、発汗が過ぎて陽気が散じてしまいますので、体表は冷え、体内の陽気は表に張り出せないのであります。
陰陽の気が、共に有余でありますと、体内に陽気が籠りますので無汗になり、体表に張り出せないので体表は冷えるものでございます。
この場合、深く脉を按じますと濇を得、浅く脉を按じますと滑を得るはずでございます。
脉を軽く按じて触れず、深部にのみ脉を得ることが出来る場合、心腹に固定性の塊がございます。
脉を深く案じて触れず、軽取して脉を得る場合は、身体の熱が体表に赴いております。
脉を重按して得た脉力の感じと、急にパッと浅いとことで得た脉力の感じを比較して、浅いところで得た脉力が強いように感じる時は、腎陽の虚衰の象でありますから、足腰が冷えるものであります。
反対に、重按した時の脉力が強く感じ、浅いところで得た脉力が弱く感じる時は、内熱が盛んな象でありますから、頭項がズキズキと痛むものであります。
脉を骨に達するくらいさらに強く深く按じまして、脉気が頼りなく感じますものは、精気の弱りの象でありますので、腰脊が痛み、身体にしびれなどの知覚異常があるものでございます。
※内外・上下は、脉の深浅と解釈した。
原文と読み下し
是知.陰盛.則夢渉大水恐懼.陽盛.則夢大火燔灼.陰陽倶盛.則夢相殺毀傷.
上盛則夢飛.下盛則夢墮.
甚飽則夢予.甚飢則夢取.
肝氣盛.則夢怒.肺氣盛.則夢哭.
短蟲多.則夢聚衆.長蟲多.則夢相撃毀傷.
是れを知る。陰盛んなれば則ち大水を渉りて恐懼するを夢みる。陽盛んなれば則ち大火燔灼(ばんしゃく)するを夢みる。陰陽倶に盛んなれば則ち、相い殺し毀傷するを夢みる。
上盛んなれば則ち飛ぶを夢みる。下盛んなれば則ち墮するを夢みる。
甚だ飽なれば則ち予(あた)うるを夢みる。甚だ飢えたれば則ち取るを夢みる。
肝氣盛んなれば則ち怒するを夢に見る。肺氣盛んなれば則ち哭(な)くを夢みる。
短蟲多ければ則ち衆を聚(あつ)むるを夢に見る。長蟲多ければ則ち相い撃ちて毀傷を夢みる。
是故持脉有道.虚靜爲保.
春日浮.如魚之遊在波.
夏日在膚.泛泛乎萬物有餘.
秋日下膚.蟄蟲將去.
冬日在骨.蟄蟲周密.君子居室.
故曰.知内者按而紀之.知外者終而始之.此六者.持脉之大法.
是れ故に脉を持するに道有り。虚靜を保と為す。
春日は浮なること魚の遊ぎて波に在るが如し。
夏日は膚に在り。泛泛(はんはん)やとして萬物有餘す。
秋日は膚を下り、蟄蟲(ちつちゅう)將に去らんとす。
冬日は骨に在り。蟄蟲周密し、君子は室に居す。
故に曰く。内を知る者は、按じてこれを紀とす。外を知る者は、終りてこれを始む。此の六者は、脉を持するの大法なり。
心脉搏堅而長.當病舌卷不能言.其耎而散者.當消環自已.
肺脉搏堅而長.當病唾血.其耎而散者.當病潅汗.至今不復散發也.
肝脉搏堅而長.色不青.當病墜若搏.因血在脇下.令人喘逆.其耎而散.色澤者.當病溢飮.溢飮者.渇暴多飮.而易入肌皮腸胃之外也.
胃脉搏堅而長.其色赤.當病折髀.其耎而散者.當病食痺.
脾脉搏堅而長.其色黄.當病少氣.其耎而散.色不澤者.當病足䯒腫.若水状也.
腎脉搏堅而長.其色黄而赤者.當病折腰.其耎而散者.當病少血.至今不復也.
心脉の搏つこと堅にして長なるは、當に舌卷き言いこと能わざるを病むべし。其の耎(ぜん)にして散ずる者は、當に消環して自から已ゆべし。
肺脉の搏つこと堅にして長なるは、當に唾血を病むべし。其の耎にして散ずる者は、當に潅汗(かんかん)して今に至りて復た散發せざるを病むべし。
肝脉の搏つこと堅にして長く、色青からざるは、當に墜(だ)若もしくは搏(だ)を病むべし。血脇下に在るに因りて、人をして喘逆せしむ。其の耎にして散じ、色澤なる者は、當に溢飮(いついん)を病む。溢飮なる者は、渇して暴(にわか)に多飮し、肌皮腸胃の外に入り易きなり。
胃脉の搏つこと堅にして長し、其の色赤きは、當に折髀を病むべし。其の耎にして散ずる者は、當に食痺を病むべし。
脾脉の搏つこと堅にして長し、其の色黄なるは、當に少氣を病むべし。其の耎にして散し、色澤ならざる者は、當に足䯒(ぎょう)腫れて水状の若くなるを病むべし。
腎脉の搏つこと堅にして長し、其の色黄にして赤なる者は、當に折腰を病むべし。其の耎にして散ずる者は、當に少血し、今に至るも復せざるを病むべし。
帝曰.診得心脉而急.此爲何病.病形何如.
岐伯曰.病名心疝.少腹當有形也.
帝曰.何以言之.
岐伯曰.心爲牡藏.小腸爲之使.故曰少腹當有形也.
帝曰.診得胃脉病形何如.
岐伯曰.胃脉實則脹.虚則泄.
帝曰く。診して心脉にして急なるを得たり。此れ何病と為し、病形は何如なるや。
岐伯曰く。病は心疝と名づく。少腹に當に形有るなり。
帝曰く。何を以てこれを言うや。
岐伯曰く。心は牡藏と為す。小腸これを使となす。故に少腹當に形有るべしと曰く。
帝曰く。診して胃脉を得たり。病形は何如や。
岐伯曰く。胃脉實すれば則ち脹す。虚すれば則ち泄す。
帝曰.病成而變.何謂.
岐伯曰.風成爲寒熱.癉成爲消中.厥成爲巓疾.久風爲飧泄.脉風成爲癘.病之變化.不可勝數.
帝曰く。病成りて變ずるとは、何の謂いぞや。
岐伯曰く。風成りて寒熱をなす。癉成りて消中と為す。厥成りて巓疾と為す。久風は飧泄と為す。脉風成りて癘と為す。病の變化、勝げて數うべからず。
帝曰.諸癰腫筋攣骨痛.此皆安生.
岐伯曰.此寒氣之腫.八風之變也.
帝曰.治之奈何.
岐伯曰.此四時之病.以其勝治之愈也.
帝曰く。諸もろの癰腫、筋攣、骨痛、此れ皆安(いず)くに生ずるや。
岐伯曰く。此れ寒氣の腫、八風の變なり。
帝曰く。これを治するに奈何せん。
岐伯曰く。此れ四時の病なり。其の勝を以てこれを治せば愈ゆるなり。
帝曰.有故病.五藏發動.因傷脉色.各何以知其久暴至之病乎.
岐伯曰.悉乎哉問也.
徴其脉小.色不奪者.新病也.
徴其脉不奪.其色奪者.此久病也.
徴其脉與五色倶奪者.此久病也.
徴其脉與五色倶不奪者.新病也.
肝與腎脉並至.其色蒼赤.當病毀傷不見血.已見血.濕若中水也.
帝曰く。故ありて病めば、五藏發動し、因りて脉色を傷る。各おの何を以て其の久、暴これに至る病なるを知るや。
岐伯曰く。悉(つ)くせるかな問いや。
其の脉を徴するに小、色奪せざる者は、新病なり。
其の脉を徴して奪せず、其の色奪する者は、此れ久病なり。
其の脉を徴して五色と倶に奪する者は、此れ久病なり。
其の脉を徴して五色と倶に奪せざる者は、新病なり。
肝と腎の脉、並び至り、其の色蒼赤なるは、當に毀傷を病みて血を見ざるべし。已に血を見れば、濕なること中水の若くなるを病む。
尺内兩傍.則季脇也.
尺外以候腎.尺裏以候腹.
中附上.左外以候肝.内以候鬲.右外以候胃.内以候脾.
上附上.右外以候肺.内以候胸中.左外以候心.内以候膻中.
前以候前.後以候後.
上竟上者.胸喉中事也.
下竟下者.少腹腰股膝脛足中事也.
尺内の兩傍は、則ち季脇なり。
尺外は以て腎を候い、尺裏を以て腹中を候う。
中の附上の左外を以て肝を候い、内を以て鬲を候う。右外を以て胃を候い、内を以て脾を候う。
上の附上の右外を以て肺を候い、内を以て胸中を候う。左外を以て心を候い、内を以て膻中を候う。
前は以て前を候い、後は以て後を候う。
上竟の上なる者は、胸喉中の事なり。
下竟の下なる者は、少腹、腰股、膝脛、足中の事なり。
麤大者.陰不足.陽有餘.爲熱中也.
來疾去徐.上實下虚.爲厥巓疾.
來徐去疾.上虚下實.爲惡風也.
故中惡風者.陽氣受也.
麤大なる者は、陰不足にして陽有餘す。熱中を為すなり。
來ること疾くして去ること徐なるものは、上實下虚す。厥巓疾と為す。
來ること徐にして去ること疾きを、上虚下實す。惡風を為すなり。
故に惡風に中る者は、陽氣受くるなり。
有脉倶沈細數者.少陰厥也.
沈細數散者.寒熱也.
浮而散者.爲眴仆.
諸浮不躁者.皆在陽.則爲熱.其有躁者在手.
諸細而沈者.皆在陰.則爲骨痛.其有靜者在足.
數動一代者.病在陽之脉也.泄及便膿血.
諸過者切之.濇者陽氣有餘也.滑者陰氣有餘也.
陽氣有餘.爲身熱無汗.
陰氣有餘.爲多汗身寒.
陰陽有餘.則無汗而寒.
脉有りて倶に沈細數なる者は、少陰の厥なり。
沈細數にして散の者は、寒熱なり。
浮にして散の者は、眴朴(けんぼく)と為す。
諸の浮にして躁ならざる者は、皆陽に在れば則ち熱と為す。其の躁有る者は手に在り。
諸の細にして沈なる者は、皆陰に在れば則ち骨痛と為す。其の靜有る者は足に在り。
數動一代する者は、病陽の脉に在るなり。泄して膿血を便するに及ぶ。
諸の過なる者、これを切するに、濇なる者は陽氣の有餘なり。滑なる者は陰氣の有餘なり。
陽氣の有餘は、身熱して無汗と為す。
陰氣の有餘は、多汗にして身寒と為す。
陰陽有餘なれば則ち無汗にして寒す。
推而外之.内而不外.有心腹積也.
推而内之.外而不内.身有熱也.
推而上之.上而不下.腰足清也.
推而下之.下而不上.頭項痛也.
按之至骨.脉氣少者.腰脊痛而身有痺也.
推してこれを外にし、内にして外ならざるは、心腹に積有るなり。
推してこれを内にし、外にして内ならざるは、身に熱有るなり。
推してこれを上にし、上りて下らざるは、腰足清(ひ)ゆるなり。
推してこれを下にし、下りて上らざるは、頭項痛むなり。
これを按じて骨に至るも、脉氣少なる者は、腰脊痛みて身に痺有るなり。
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