鍼灸医学の懐

急証急攻

1.傷寒

急証急攻

発熱すること二三日にて、舌に白胎、粉をつけたるほど厚くみゆる時は小柴胡を用ゆるに、昼頃は黄色になり、胸膈満痛、大渇、煩躁などを見(あらわ)す。

是れ伏邪、胃に伝るなり。前法に大黄を加えて之を下して煩渇少しはやみ、熱もやわらかぐかと思う中に、昼過には煩躁、発熱、舌も一面に黒くなり、刺を生ずと云うて猫の舌のようにざらざらとして、鼻孔煤けて黒くなる。此の毒、甚だ重し。

急に大承気を投ず。

夕方になると大いに下り、夜半より熱退き、明朝は鼻黒、胎刺さらりととれて快くなる有り。

此は一日の中に数日の容体をあらわし、治法、時を越さずに配合して手際の入ることなり。

毒のはげしきは伝変、至て速きなり。

治法も手ぬるくては間にあわず。此の如く証にゆるゆるとした療治をしては二三日の中に死す。

心得べきことなり。

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